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『更新読み物』
○更新12/23 IW→『Dear my srave
/Overdrive』
〜幸村聡一の眼球姫〜
『住吉と藍空市の夜』3
12/21 IW→『Dear my srave
/Overdrive』
〜幸村聡一の眼球姫〜
『住吉と藍空市の夜』2
12/20 IW→『死村家の人々。』
〜サツキ・ダブルスタンダード〜5.
12/13 IW→『Dear my srave
/Overdrive』
〜幸村聡一の眼球姫〜
第二回ノ一
『住吉と藍空市の夜』ちょこっとずつ修正。
12/13 IW→『Dear
my srave /Overdrive』
〜幸村聡一の眼球姫〜
第二回ノ一
『住吉と藍空市の夜』
♯1.『リボルバームーン』
「日比野さん」 なんだかねぇ――そんなことを思いつつも日比野は靴を拾い縁側を離れた。きっと見る者が見れば『そんな顔も出来るんだ』と驚く笑い顔で。 |
◎人物
〜藍空市〜
・鈴原冬架……ヴィヴィの義姉。ドクの養子
・高瀬卓士……ドクの養子。高校生。
・???
〜運搬船〜
・ヴィヴィ・ヴァージニア・天道……ドクの養子
・ムーチェ・フラッグ……珈琲好き
・ソフィア・フラジオレット・レッドウィンター……シャイ
・速水虎徹斎……老人
・???
・???
〜東京〜
・天道凶事……首相。殲争屋。
・ドク・ブルースプリング……特殊公安庁長官『式志摩譲二朗』
・???
・???
3.
「ここが被害者の船室かぁ」
「そ、この中で死んじまったわけだね。密室殺人ってやつさ」
のんびりとした口調で二人は船室中に飛び散った血の海を眺めていた。赤黒くこびりついた血はべったりとこびりつき、生乾きのペンキのような独特の湿り気と粘性を持っている。この夥しい量の血液は果物を搾ってフレッシュジュースを作るように人間の身体を締め上げだしたのだろう。さもなければ雑巾で絞られたような屍骸が出来るはずもない。常人には出来るはずもない芸当であり、ムーチェやヴィヴィが犯人扱いされるのも無理はないことだった。
「これってけっこうスプラッターな光景だよな。ウチの姉様さ、こういう映画好きだったんだ。怪獣とか出てきて船員とかどんどん襲ってく奴。誰が生き残るのか予想するのが面白いって」
まだ生々しい血痕を眺めながらヴィヴィが暢気に呟く。船室内には肉と血の香りがまだ漂っているがそんなことを気にすることない。その図太さに呆れてムーチェは溜息をつく。
「ヴィヴィちゃん、女の子ならもっとこういうの気持ち悪がろうよ」
「そんな格好悪い真似できるかよ」
普通の女の子なら卒倒する場面かもしれないが、普通の女の子よりも血生臭い世界で生きているヴィヴィがこの程度で驚くはずもない。
こんなことでギャアギャア言うのはヴィヴィにとって実に格好悪いことだ。
ヴィヴィは臆すことなく血まみれのベッドや鞄を調べだした。そのガサツな動きには繊細さの欠片などなかったが妙な頼もしさがある。
「なんか臭いとかそういうの分からないのか、ムーチェ」
「臭いねぇ。うーん。そこら辺の能力がすぐれた種族じゃないからねぇ」
リビングアーマー。
ムーチェの種族はそう呼ばれる。
防御能力に優れ近接戦闘には強いが、知覚能力はさほど高くなく魔術的な素養も芳しくない。探すと言う行為にはあまり向いていなかった。感覚に優れた吸血鬼種等ならばそういうことも可能だがムーチェにはそれはできない。
「じゃあ死体から何か調べたりとかは?死亡時刻のうんたらかんたらとか」
「それも無理よん。そういう知識は素人だもん、私」
『そっか』とヴィヴィが呟いた。この密室内で犯行を行う方法をない知恵振り絞って考えたが答えに辿りつくことはなかった。
「うーん、どういう能力や技で殺したか分かればなぁ……人間の体中の骨をバキバキにするんだろ?蛇に巻きつかれたみたいに」
「それが分かれば苦労しないんだけどね」
そう言われヴィヴィは考え込んでしまう。
「なぁ、ムーチェ」
「ん?何かしら?」
「じっちゃんのこと嫌いなのか?」
あまりにも唐突な予想外の質問だった。
ムーチェはヴィヴィの真直ぐな視線を受け止め、肩をすくめてみせる。
「あら、随分懐いてるじゃないの」
そう言いながらムーチェはベッドの下に手を入れる。出てきたのは血まみれのポルノ雑誌だった。
「いい人だと思うぜ、じっちゃん」
ヴィヴィの言葉にムーチェも白い歯を見せ笑う。
「嫌いなのか?」
「私もそう思うよ」
少し困ったような顔をしていたヴィヴィにそう答えた。
確かに、老人のヴィヴィに向けるさりげない気遣いや優しさは信頼するに値するだろう。
だが――。
「でもね、いい人でも嘘つきはいるのさ」
少し難しい顔でヴィヴィが腕を組んだ。
まだそういう人の裏表を理解するような年齢ではないし、そういうすれたところがないからあの老人もヴィヴィのことを放っておけないのだろう。
だが、そういうことが理解できない純真さはこちらの世界では致命的だ。
ムーチェは技よりも何よりもこちらで生きることがどういうことかヴィヴィに教える必要がある。
「ムーチェは雇われてこの船に乗ったのか?」
ベッドの下を調べていたムーチェの動きが止まった。まるでそのことを聞かれたくなかったようでもあったがそんなことにヴィヴィは気づかない。
「そ、護衛でね」
「この船の荷物のか?」
少し考えた後、ムーチェは頷いた。
「そ。この船が何を積んでるのかは知らないけどね」
『ん?』とヴィヴィは不思議そうな声を漏らす。
「何って、珈琲豆だろう」
「それもあるさ。だがそいつぁ、カモフラージュって奴さ」
「どういうことだ?」
「いい機会だ。教えておこう」
そう言いながら、ムーチェは部屋の隅にあった白い何かを指先でつまんだ。骨、被害者の骨だ。
「この船の本当の名前はツキシマ。元プルトニウム運搬船だよ」
「ツキシマ、プルトニウム?核の燃料か?」
「そ。ツキシマは1992年に予定されていた英仏から日本までのプルトニウム運搬船護衛用として開発されたのよ」
その声には表情に出ない深い感情があることにヴィヴィは気づいた。
どこか寂寞としたその声色は、何十年も昔の大切な思い出を語るようなそんな感じの口調だった。
「そんで今は珈琲豆運搬船に偽装されてるってわけよ」
「なんでムーチェがそんなこと知ってるんだ?」
「色々あるのよ、事情ってのがね」
ムーチェが苦笑いを浮かべた時――。
ゴトリという音がした。
ヴィヴィとムーチェの視線が同じ場所を見つめた。
天井だ――。
「ヴィヴィちゃん!!」
「おう!!」
威勢のいい返事と共に不敵な笑みを浮かべるヴィヴィ。
ムーチェの肩を踏み台にし跳ね上がり、そのまま天井に踵を叩きつける。
容赦も加減もない力に粉砕される船室内の屋根が弾け飛んだ。
舞い落ちる木片の中、ヴィヴィが着地する。
「逃げられた?」
よくよく考えれば狭い天井裏に人間が入れるはずもなかった。
「ネズミか何かか?」
「いーや」
ムーチェは殺気立つヴィヴィに向かいニッと笑みを浮かべる。
「ヴィヴィちゃん、犯人がこの密室内にどうやって入ったか分かるかい?」
「もしかして天井?でも人間にはそんな狭いトコ入るのは無理だろ?」
「人間に限る必要はないんじゃない?」
ムーチェの言葉にハッとしたヴィヴィが口を開いた。
「D!!」
「そゆこと」
「でもなんでそんなのがこの船に――!!」
まさかヴィヴィと同じように密航していたとでも言うのだろうか?
とヴィヴィがそこまで考えた時――苦悶の悲鳴がデッキの方から響いた。
「ムーチェ!!」
「あいよ、ヴィヴィちゃん」
全くタイプも人種も異なる二人――。
かたつむりと紫陽花のように――。
風と鳥のように――。
二人の体が跳ねるように部屋を飛び出しデッキに向かう。
そのリズムが僅か数日の内に合って来ていることに未だ気づいてなかった。
4.
「まいったね、どうにも」
太く逞しい唇から吐き出された吐息が大気の中に消えた時、ムーチェ・フラッグの姿は既に人間の物ではなかった。
デッキに降り注ぐ月明かりが、金属特有の冷たい輝きを放つ漆黒の身体を照らし出す。全身を鋼で覆い隠したムーチェの隣にはまだあどけなさを残す少女の姿があった。
少女はその勝気な瞳をギラつかせ眼前の光景を見つめる。波が足元を濡らすことにも気づかずにただ目の前のことを受け入れる。
少女――ヴィヴィは子供の頃からそうだった。
一つの命が抗うことも出来ずに消えていく瞬間から目を逸らさない。
二人の耳に届く、波の音、命が終る音――そのどちらも闇の中に消えていく。目の前で命が一つ消えたという事実を残したままで。
「ヴィヴィ、飛び出すなよ」
普段は飄々としているムーチェからは想像できない鋭い声だった。
ヴィヴィが頷くと、船乗りの屈強な体からまた軋む音が響く。
「分かってる、もう死んでることは分かってるぜ、ムーチェ」
僅かに震える声でヴィヴィは答える。
「覚えておくといい。こっち側で生きてくってことはこれを何度も見ることになる」
だらりと船乗りの腕が虚しく揺れた。まるでバイバイと手を振るように。
それでも容赦することなく、船乗りに絡みつく透明なゼリー状の何かがその身体を締め上げる。闇の中でもその姿がはっきりと分かるほどに発光し、透き通った姿を晒す何か。
「透明なアナコンダみたいだな、これは」
死体にグルグルと巻きつく蛇のような細い体躯、その観察を続けながらムーチェは間合いを取る。
「ムーチェ」
目の前を見つめたままヴィヴィが呟く。
「こいつさ、こないだ私につっかかってきた船乗りなんだ」
「ああ」
「はっきり言えば嫌いなんだ。母さんや姉様のことを馬鹿にした」
言葉と共に一歩、ヴィヴィが前に踏み出す。
「ヴィヴィ、それ以上前に出るな」
「でもさ、ムーチェ」
また一歩、ヴィヴィが踏み出した時、ゼリーの大蛇がヴィヴィに気づいた。
「ヴィヴィ、下がれ」
「そんな奴なのにさ」
「いいから下がるんだ、ヴィヴィ」
「目の前で殺されると腹が立つんだぜ!!」
ダンという音と共にヴィヴィの身体が矢のように弾ける。
勢いに任せた防御も何もない本当にただ真直ぐにぶつかっていくだけの疾駆。
ヴィヴィの考えていることは極めてシンプルな一言、『ぶん殴る』だ。
「ヴィヴィ!」
叫びと共に脚部の黒甲冑に炎が点火された。そのイグニッションが爆発的な脚力を生む。
鋼鉄の踵に踏み潰されたデッキ破片が床に落ちるのとほぼ同時にムーチェの拳はゼリーを貫いていた。
だが、貫いただけだけだった。
「冷静になれ、ヴィヴィ!!」
貫いただけでは水のような身体を持つゼリーは死滅しなかった。
再生したゼリーに腕を飲み込まれたままムーチェが叫ぶ。
「ムーチェ!!」
フレデリックの船体が大きく揺れ、一際強い波が二人を包んだ。
それはほんの一瞬のこと。僅か数秒のことだった。
波が消え嘘のように静まり返った時、デッキには二人の姿はない。
波が二人とゼリーを暗い水面の中にさらってしまった。
「ヴィヴィ……」
波が消えた後、二人の代わりに立っていたのは女性だった。
銀髪と黒衣を夜風に靡かせ、憂いを帯びた瞳で暗い水面を眺める。
「ヴィヴィ………候補者の一人……試される……は………探してる……試練の中……新たな……が……生まれる……だから生きて……」
弱々しい声はムーチェとヴィヴィ同様に波の音に消えていった。
5.
海が黒い――。
空の青は周波数の高い青色の光が大気中の微粒子によって乱反射するから、海の青は太陽光線が水中に届き水中にある浮遊物に当って反射した時の色が見えているからだ。深海では闇が深くなればなるほど光は消えていく。
『あいつならこういう時に甲冑が海に浮くのかなんて言いながら笑い転げるかもしれない……』
深海へと沈んでいくムーチェ・フラッグが思い出していたのはプルトニウム運搬船ツキシマの乗組員だった親友のことだ。
いい奴だった。
人間とDという種族の垣根などないと教えてくれた。
馬鹿みたいに真直ぐで――。
本当ならば、ムーチェの妹と挙式をあげるはずだった。
ツキシマが消息さえ絶たなければ――。
朦朧とした意識の中、浮んだ親友の顔がヴィヴィの顔に切り替わる。
『ヴィヴィ……』
ガントレットに包まれた手の中にはヴィヴィの小さな手が握られていた。
波に飲まれた時に握ったまま離さなかったおかげで何とか離れずに済んだようだ。
力加減からヴィヴィが意識を失っていることはすぐに分かる。暗い海の中で離れてしまえば助かることはなかっただろう。
『まずいな』
自分の呼吸は水中でもしばらくは問題なく持つが、ヴィヴィはまずい。
両足に力を込めれば、デッキを蹴った時と同じように脚部の甲冑に小さな炎が点火の後、気泡が射出された。イグニッションが再び脚力を生み、水底に引きずり込もうとする力を振り切ろうとしていた。これを何度か繰り返せば海面に上がれるはずだ――。
しかし、ふと、その身体の重みが急激に増す。
まるで濡れた砂袋を持たされた時のようにずっしりとした重みがムーチェにかかる。
『おいおい』
すぐに分かった。その重みが何なのか。
これは水分を含んだ死体の重さ――船乗りの死体を取り込んだままのゼリーだ。
水底に引きずり込まれようとしているのをムーチェにしがみつき必死で耐えていた。原始的な思考は未だに重荷となる屍骸を手放させないようだ。
『奴さん、しぶといね』
グッと握り締めた左拳。
小さな炎がガントレットに点火された。
放たれたロケットのような一撃。それが狙ったのは船乗りの死体だった。
水中で威力が落ちているとはいえ、十分に人間の身体を打ち抜くことができる。
拳は皮膚を突き破り胸骨を砕く。
胸部を拳で貫かれた船乗りの死体。
拳が開けた穴から黒に近い緑色の血が飛び散った。
深海100フィートで流れた血は緑色に見える、それは太陽光線のうち赤い色光が届かないからだ。
『水圧で粉々になれ』
殴られた勢いで海底に向かって吹き飛ぶ死体。それを取り込み巻き付いているゼリーも引きずられて光のない世界に沈んでいく。
あのゼリーが何だったのかは分からない。だが二度とムーチェ達の前に現れることはないだろう。
水底に沈んでいくのを見送ると再びムーチェは水面を目指す。
何としてでも船に戻らなければならない。
そして確かめなければならない。
ツキシマの船員がどうなったかを――。
そして――ヴィヴィを死なせるわけにはいかない。
ぐったりとしたままのヴィヴィの身体を抱き抱え、もう一度強く水中でイグニッションする。
『死なせるかよ』
本当は当に気づいていた。
朦朧とした意識の中、親友の顔がヴィヴィの顔に切り替わった理由に――
放っておくことができない理由に――。
無鉄砲で馬鹿で単純で真直ぐで――。
それがどうしても重なって見えてしまっていることに――。
『死ぬなよ、ヴィヴィ』
二人を照らす光が目の前に見えていた。
『ギチギチ』 「ギチギチギチギチギチギチギチ……」 二年間、コンビニで夜間バイトをやっていて初めてそんな音を聞いた。 耳障りな蟲の鳴き声のような音だった。 なんだ――そう思った時には音が消えた。冷ケースの音か何かかと思った時、 「ギチギチギチギチギチギチギチ……」 再び、そんな音が聞こえてきた。 どうにも気味が悪い。 音が聞こえてきたのは隅の冷ケース前であり、やはり機械か何かの音かとも考えたがどうにも生っぽい。生き物がたてる声のように思えた。 ちょうど、隅を映してる防犯ミラーには何も映ってない。 「ギチギチギチギチギチギチギチ……」 だが、あのギチギチという粘着質な音だけは聞こえてくる。 どうにも不安が背筋を這い上がってくるような気持ちに駆られ確認してみることにした。
いた。
「ひっ……」
俺が戸惑っている間に子供は出口に向かって歩いていく。 第二回『ゴボゴボ』 ○あまり本編に関係ない人物紹介 (秋田県湯沢/中西鏡子22歳・フリーター) 私がシャワーを浴びていた時、排水溝からゴボゴボという音がした。 酷く耳障りで清潔感の欠片もないげっぷみたいな音。 特に違和感を感じることもなく、水の流れる音かなと思った瞬間――。
第3回『ギシギシ』 ○あまり本編に関係ない人物紹介 (秋田県湯沢/中西靖男20歳・フリーター)
ああ、今日も――来る。
第4回『ガサガサ』 秋田県湯沢/中西正子 45歳・主婦) いつも通りに生ゴミを捨てに地区の集積場に行きました。ゴミを捨てようとした時、おや?って思いました。 黒いゴミ袋の中でガサガサと何かが動いたのです。 |
『犬杉山センチネル』 『犬杉山センチネル』 ”僕たちは目覚めてく”
Chapter-0 (犬杉山案内のしおり) Chapter-7 (序章ノ漆) 1 2 3 ”永劫の螺旋は終らない”
『犬杉山センチネル』Chapter-1/R (序章ノ壱/再)〜魂の21グラム〜
◇ 【狭間市開発特別地区】
【犬杉山市真北裏路地】
【犬杉山市赤鎖工業高等学校:虐殺中 現在生存者数:101199人】 犬杉山センチネルChapter-1/R (序章ノ壱/再)
【犬杉山市犬杉山町壬生区:皆野川琴音→移動:現在生存者数:100212人】 |
第二回:『ストーカーなら大丈夫!!』
第三回:『魁なら大丈夫!!』
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