『リコーダー』

 

夕暮れ。商店街はまだ活気に満ちていた。
「二郎ちゃん、私この前の日直ですごい物見たんだ」
やや、楠木楓は隣を歩く稲花二郎に興奮気味にまくしたてる。
「何をさ?」
「うん!聞いて驚くよ!」
「へぇ。で、何を見たわけ?」
「うん!リコーダーを舐めてる人!」
「……ある意味すごいな」
「ねっ!ねっ!すごいでしょ?だって人のリコーダーだよ?信じれる?それってすごい直接的行為だよ!鏡に映った自分にキスするみたいなもんだよね?これはやれやれだぜ、とか言いますよ!背徳だよ!背徳的行為だよ!」
さりげなくジョジョネタを使う楓。
「漢のロマンなのかねぇ」
「二郎ちゃんはやらないの?」
「俺?」
二郎は幼馴染の少女の顔を思い浮かべた。
「何か回りくどくない?ポリシーじゃないのね。だったら俺は正面きって乳揉むさ」
少し胸を張る二郎。
「わお!かっくいい〜!!!男気だね!渋いねぇ!おたく渋いねぇ、だね!!!」
「ジョジョネタはやめい」
「んふふ、実はね、さらに驚くことがあるんだよ」

朝、早く学校に行く。
校内には誰もいない。
することがある。
背徳的で官能的な行い。
忌むべき禁忌。

彼女はかわいい。
すらっとした体系で胸はあまりないのがそそる。
小さな唇も柔らかで、
瞳は大きくショ−トカットとマッチしてる。
相原一意さん。
水泳部のエース。
さばさばとした性格がとてもかっこいい。


自分は相原さんの机からリコーダーを出した。
まず匂いを嗅ぐ。
動物学的に臭い。
体液が臭う……。
なんて臭さだ。
ああ、臭い、臭い。
あんなにかわいいのにリコーダーはこんなに臭いのか。
次にすることは卑猥的で直接的なこと。
「あんんむぅぶちゅうううううううぅぅぅぅ」
出来る限り嫌な音を立てそれを舐める。
なぶるように。
転がすように。
舌でこね。
唇でこする。
自分の唾液が出来る限りつくように。
相原さん、相原さん、相原さん。

好きだよ。
好きだから。
好きなんだよ。
だからこうするんだよ。
これは言わばマーキングなんだよ。
君は自分に気づかなくてもいいんだよ。
ただ嫌がってくれればいいんだ。
騒いでくれればいい。
「何かリコーダーから嫌な味がする」
とかね。
この直接的勇気ある行為なんかじゃない。
分かってる物をかいしてでしかそういうことが、
できない人間の弱い部分だ。

でもさ、ほら、馬鹿な男子って習字の授業で好きな女の子に墨をかけるだろ。
その感覚なんだよ。
辱めたい。
君のことが好きだからさ。
たっぷり唾液を入れたあとリコーダーをしまう。
次に机にかかっていた予備らしき水着をあさる。
紺色の水着。
自分の水着を取り出し、何回もこすり合わせる。
ああ……。
ある意味SEXと言えないだろうか?
その時、廊下から物音がした。
水着を隠す。
……。
…。
大丈夫だ。
わざと股間と乳首に当たる部分に鋏を入れる。
嗚呼……。
これに着替えた後、なんていうだろう。
考えただけで……。

穴を開けるだけではもったいない。
口に咥えた。
ああ、布の味がする。
このよどがついた水着を彼女は着るんだ。
恍惚にひたる。
絶頂だ。オーガニズムだ。


好きだよ。
好きだから。
好きなんだよ。
だからこうするんだよ。
君は自分に気づかなくてもいいんだよ。
ただ嫌がってくれればいいんだ。
その様を観察したいんだ。
じっくり君が嗚咽をこらえる所を見せてくれ


「そう実はね、その人ね……女子生徒だったんだよ」
二郎が驚く。
「マジっすか?てか見てたお前もすごいな」
「てへ。はぐれ刑事の気分でした。見てるな、ジョースター!!みたいな」
「だからジョジョネタはやめい」
「あのね、二郎ちゃん」
「なぬ?」
「二郎ちゃんさ、本当にやったことない?」
「ないよん」
「本当に?」
楓がジッと二郎を見つめる。
耐え切れず二郎は目をそらした。
「……アリマス」
「ああ!やっぱり!お前、嘘の味がするぜ、だよ!!しかもいつも正面きって涼ちゃんにちょっかいだしてるくせに!!獣!イーデア!ZMANに殴られて愛とか叫べ!!」
楓のネタはドンドンマニアックになっていく。
「いや、あの頃は馬鹿だったから、本人に見つかってさ」
「うわ。一番悲惨なパターンだね……」
「涼泣いてたな……かっこ悪いよなぁ。思えばそれで嫌われたのかも」
「それって、本当に嫌われたよね」
楓は二郎の袖をそっと引っ張った。
「……諦めちゃえば」
そっと楓が囁いた。
「ん?」
「んんー!何でもないよ!あっ!!」
正面を一一と涼が歩いてくる。
「涼ちゃん!一ちゃん!」
楓は二人に向かって走っていく。

 

end

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