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ロゴデザイン みそそぎシャギー

slave……奴隷
srave……愛奴

『Dear my srave /Overdrive』


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『鈴原冬架』(図・右)


二つ名は『プロトコルF(電界の覇者)』。元ツンデレ。現在はデレの状態であり、その天才的な頭脳は卓士に対する愛情表現にしか使ってない困った人。将来は卓士と愛欲の日々を送りたいと切に願うヒロイン失格な十七歳。好きなバンドはBECK(べック)『メロウ・ゴールド』。卓士至上主義。


『山野夕陽』(図・中央)

冬架と美少女をこよなく愛する困った人。スタンガン等を常時持ち歩いている。本当はみんなとうまくやりたいのに空回り。好きなバンドはPUDDLEMAD(パドルマッド)『カムクリーン』。冬架至上主義。


『霧沙希怜貴』(図・左)

心優しきカレーの戦士。二つ名は『リッパーウィープス(雨夜に泣く刃)』。第三位魔眼所有者にして霧沙希家の次期党首。でも好きな人の前ではいつも空回りな傷つきやすい十四歳。好きなバンドはPILLOWS(ピロウズ)『アイスピック』。バーモントカレー至上主義。

〜野郎ども〜
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『高瀬卓士』
 

とりあえずで人を殺す困った人。とばっちりは山野や総司に。冷血冷静沈着。人間らしい感情は勉強中の主人公失格な十七歳。好きでもないけど良く聞く音楽はPAPAROACH(パパローチ)『ラヴヘイトトラジディ』。命令至上主義。
 

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『佐東総司』

煩悩に忠実な困った人。企画AVが大好きなナイスガイ。いつも悲惨な目に。好きなバンドはMARILYNMANSON(マリリンマンソン)『スメルズ・ライク・チルドレン』。エロス至上主義。





第一夜『或不廃児の惨殺人形』

第一回   第二回  第三回  第四回   第五回
 第六回 第七回 第八回 第九回  第十回 第十一回

L'ecame des jours(うたかたの日々)

第一回

第二夜『幸村聡一の眼球姫』
第一回 第二回 第三回 第四回



 第五回ノ一
『ウィルオウィスプT(愚かな焔)』

 華宴櫓ピヨコ(かえんやぐらぴよこ)が卓士と冬架との合流場所に選んだのは藍空市商店街の隅にある小さな喫茶店だった。
 それはピヨコにとっては仕事からの帰り道などで見慣れた物であったが、いつの間にか背景と化していた物でもある。街角に張られたポスターが雨梅雨に晒され、いつのまにか誰の目にもとまらなくなって行くような――ピヨコにとってはその喫茶店はそんな感じだった。
 喫茶の名前はガロ。
 その少し色あせた白とグリーンを基調とした外観は見慣れてはいたが、いざ入るのは初めてだった。お茶をするという習慣がないピヨコは今時の高校生女子のように喫茶やファミレスのドリンクバーを利用することがなかった。それに喫茶店という物は渋い中年男性や老人達がまったりと時間を過ごすようなイメージがあって入り辛く、そういう偏見が今まで喫茶を遠ざけていた原因だった。
 それも卓士と一緒なら違う。今日は卓士と一緒、そのことだけでピヨコの胸は高揚していた。
 いや、別に卓士のことが好きだからとか一緒にいられるからではないと自分に言い聞かせ、心の均衡が崩れてしまいそうになるのを必死で堪えた。
 ピヨコは一人先に窓際の席に着き、暗がりをぼんやりと通り行く人々の流れと消えていく雨粒を見つめていた。
 アンセムにいた頃には自分がこうして普通の女の子のようなことをするなど考えもつかなかった。しかも、アンセムにいた頃から気になっていた卓士と一緒に――。
 ピヨコがよく読んでる少女コミックで言えば『昔の同級生が数年ぶりに気になっていた男の子と再開する』という奴だろうか。しかし、男の子の方には別の女の子が――。
「何を考えてるんだ、私は」
 正気の沙汰じゃない。今、考えなければならないのは同じ七班の怜貴のこと、総司のこと、敵のことだ。黒の王と接触した士郎答からの伝言により、事件の手がかりを追うことになった以上、余分なことを考えている余裕はない。
 そもそも卓士には冬架がいる――。
 そこが卓士の居場所であり、自分はその傍にいることを『許されてない』。
 ため息と共にピヨコは愛用のミュージックプレーヤーであるアイリバーのスイッチを入れた。曲はもちろん『ドランカー・グッド・パパ』、4トラック目『パパ、キリングミー・ママ、ホールドミー』。届かない気持ちを歌った切ないバラードだ。


第五回ノ二
『グリーンディ(碧悟の王)』

 僕と冬が総司の失った記憶を戻す手がかりを探している内に一日があっという間に過ぎ、商店街で夕食を食べようかと話していた頃、士郎さんからの依頼が入った。依頼内容は――『碧悟の王(グリーンディ)』との接触。
「冬、行くよ」
「うん」
 冬を自転車の後ろに乗せると、その小さな手がしっかりと僕の身体をつかみ体全体で体重を委ねてくる。商店街の外れへ向かって僕達は走り出す。そこで僕たちはピヨコと合流しすることにした。
 ピヨコが僕たちと行動するのは本人の独断であり、ピヨコたちだけなく七班、怜貴のことを知る者たちが皆、動き出している。今回の事件に関して藍空市は待機このすることをピヨコたちにとってそれは納得のいくものではなかったらしい。
「冬、士郎さんから聞いた話だけど」
「うん」
「あの二人が戻ってきたみたいだね」
「あの二人?ああ、ブラックメイド暗黒仮面だったかなぁ?」
「うん、そんな感じ。なんだか残虐そうな名前だよね」
「多分、悪魔超人か何かだよー」
「ああ、愛と勇気しか友達じゃないヒーロー?」
「違うよー。あれは愛と友情の心を持ったものだけが真の友なのだと心に決めてるヒーローだよ。ほら、こないだたっちゃんに全巻読ませたでしょ?王位争奪戦と二世は特に念入りに」
「ああ、額に肉の漫画か」
 冬の好きな漫画に出てくる悪役集団の総称だ。アフロに牛の角を生やした海水パンツしか着用していない男や阿修羅をモデルにした怪人が出てくる。確か、ミート君という非戦闘員をバラバラにして人質に使ってしまう残虐極まりない者達のことだ。僕もバラバラにされて粉々にされたことがあるからミート君の苦痛が理解できる。
「ホワイトの方が落ち込んでたらしいね」
「うん、士郎ちゃんにこの数週間でどんな目に遭わされたか泣きながら語ったらしいよ」
 なんとなくあの人の苦労が想像できる。マスターであるあの人も僕にセーラー服やメイド服を着せようとする変態だ。絶対に弟の終は近づけたくない。
商店街の入り口が見えてきた頃、
「たっちゃん、或不の周辺を士郎ちゃんに言われて探ってたんだけどね」
 ふいに冬がそんなことを口にする。
 或不――α‐EG。死体を再利用した巨人兵器『てむじん』と『ごりあて』の製作を冬から受け継いだ者。実験動物にダムドの要因を与える実験の過程で知能が発達してしまったチンパンジーでありαシリーズと呼ばれる。その高い知能はパソコンでの会話、高速演算をも可能としダムドも人も超越したと自称していたが、廃棄処分されそうになった時に北崎藤欄と出会う。未だに或不を生み出した組織は不明。北崎事件の時のバックボーンも不明。僕が知っているのはそれぐらいしかない。
「士郎さんに頼まれたの?」
 そう言えば、士郎さんは或不の事件について気になることがあると、うちの局長と一緒に動いていた。
「うん。それでね、或不に死体を提供してた人物を探ってる途中である建築家の名前が出てきたんだよ」
 なんとなく冬が言いたいことが分かった。
「今回の事件の首謀者であるスィーウーメス……幸村聡一(ゆきむらそういち)?」
「うん」
 僕の背に甘えながら冬が頷く。
「或不の屋敷の建設に関わってるってこと?」
「そう。問題は施設を作ったのがスィーウーメスだとしたらちょっとマズイことになっちゃうんだよね」
「マズイこと?」
「そう……藍空市が建設を黙認してたってこと」
「あ……なるほど」
「そんでもっとまずいのが北崎藤欄っていたでしょ?」
「ああ、冬が口の中に電球入れて蹴り飛ばそうとした女の子だよね」
 北崎藤欄、この間の事件で或不から狙われていた少女――子宮にサボテンだったろうか、どちらでも問題ないしどうでもいいけど。
「私にも分からないことがあったんだ。或不と北崎がどこで出会ったか、どういうつながりだったか。でもさ、北崎って名前に覚えはない?」
「北崎――」
「思い出さないかな?佐東総司の真名が東遠視(とうとおみ)であるように、その性質と役目上、偽名を名乗る五家の一つがあるの」
 羅針戒――世界規模で政治を牛耳る企業、団体の複合体(コンプレックス)、システムと呼ばれるもの。西邑(にしむら)、佐東(さとう)、南浄(なんじょう)、北都(ほくと)、央華(おうか)の五家と下部四家を核としている。様々な国の機関に干渉する力を持ち、国連規模で政治的発言権があり、羅針戒は組織内部に多くの異能者を抱える、あまりにも巨大で漠然とした存在。あまりに大きすぎてそういうものだとしか認識できない、自分の出自を知らなかった総司もその中に組み込まれていたのだろう。
「それが北崎?」
「うん。たっちゃん、羅針盤の北都一族って知ってる?真名は――破魔北(はまきた)司るのは発展と進歩」
「ああ――」
 驚くほど自然に僕は納得してた。
「僕を作ったアンセム機関を創設した人たちだね」
「……うん」
「アンセムという集団は私達異種に対抗する完全なる人間を作り出そうとする目的を持った組織だからね。まさか、ここでその名前を聞くとは思わなかったよ」
「その分家の一つがね、北崎。或不が実験台として北崎藤欄と接触していたことも、バックボーンになってたこともこれで説明はつくよね。そして藍空市はそれを知りながら無視してた」
 言われて気づいた。確かにそうだ。
 藍空市は国内で五本の指に入るダムドコミューンであり、市内への入出は厳しく管理されているし所在確認も徹底している。何か一つするにも許可が必要なほどで、飲食店を開業するだけでもかなりの数の手続きが必要になるらしい。
 或不やスィーウーメスがこの街に入ってきたことを藍空市が知らないはずもないし、知らなければ手引きした人間がいるということになる。
それは冬を護りたい僕にとって見逃すことはできない問題であり何より、僕は――。
「冬、最近なんだけどね」
「うにゃ?」
「総司がこんなことになってしまって思ったんだ。周囲で誰かが他者に危害を加えられたりするのが、上手くいえないけど何ともいえない嫌な気持ちになるんだ。胸がムカムカするというのかな」
 僕の問いに冬はキュッと服の袖を握る。
「たっちゃん……それは自然なことで普通のことだよ。みんな、そうなんだよ」
「そっか。そういうものなんだね。なんとなくだけど、総司が誰かの為にいつも一生懸命になる理由が分かった気がする」
きっとそうなんだと思う。誰かの為に戦い誰かの為に涙を流すのは総司も皆も同じで、それは僕が冬のことを思うのと同じことなのだろう。
「でもね……」
 冬の一言で――。
 ズン――と背中に、痛みが上からのしかかってくるような感覚がした。
「本当の問題はそんなことじゃないんだ。もっと大きな、この世界の地図が塗り替えられることよりももっと大きな染みを作るための黒い繊維塗料、全てを染め上げて塗りつぶすだけの黒い絵の具、世界を寸断する軋りバサミ、巨大なものさし」
それは決して冬が重くなったからなどではなく、ビリビリと身体を震わせる圧倒的なまでの重圧せいだ。そして、それを放っているのは僕の背に抱きついてる小さな冬だ。
「システムが動くよ、たっちゃん。覚えてる?その感覚」
「覚えてるよ、冬」
 僕は知っている、この世界には触れてはいけない存在がいること。
「忘れないよね。子供の頃に半覚醒して紅眼の王になった私がロンドンを焼き尽くして地獄に変えた――それ以上の極炎と閃光の煉獄をたった一人で作り出した怪物と言う称号が最も相応しい『人間』のこと」
 ふいにポタリと冬の汗が僕のうなじに落ちたことに気づいた。
 冬が震えるほどのこれほどの緊張感を持つ存在がいることを僕は経験している。
 最強と呼ばれる士郎答を三分間しか闘うことができなくした張本人――。



 

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